尊卑を捨てる森

 

なにひとつ凍えず
生きることが定めなら
わたしはこの命を
投げ捨ててしまっただろう

なにひとつ燃え盛らず
揺れ動かぬ巌なら
わたしは早々に
砕け散っただろう

わたしたちは互いに
立ちすくむだろうが
そこはかとなくつながる
同じ月を見るように

どんなわたしもあなたであり
どんなあなたもわたしであるなら
愚かなものを救いなさい
とめどない大きな力で

そしていつしか救われていく
愚かなこの身が清流に浸る
尊くもなく卑しくもないものが
ただそこにあるということを告げる森

 

 

 

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