巡礼の道

 

 

たとえすべての人間が
おまえひとりの悲しみさえ担わなくても
おまえはすべての人間の
悲しみを背負う翼であれ

たとえ世界のすべてが
おまえを無視して見向きもしなくとも
せめておまえだけは世界の片隅を
見届けてゆく瞳であれ

ありもしない光が
この身にかざされるとき
ぼくたちは既に知っていた
終わりなくつながれた心を

鳴り止まぬ風の生まれが
髪を些細に揺らすとき
ぼくたちはいつも感じてた
始まりと終わりの合図を

何もかもを受け止めようなんて
思い上がりも甚だしいけれど
清流のように澄んだ祈りの根源が
ぼくを巡礼の道へと沈める

 

 

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