少年の手の中の果実
あふれ続ける青い液体は ぼくが野性であることの証し とめどなく流れ出る印し ぼくは完全に人間になれない もはやなくなったと思っても すぐにまた果実は満たされる 果実に蓄えられる生命の幸福 果実からあふれ出る…
あふれ続ける青い液体は ぼくが野性であることの証し とめどなく流れ出る印し ぼくは完全に人間になれない もはやなくなったと思っても すぐにまた果実は満たされる 果実に蓄えられる生命の幸福 果実からあふれ出る…
地球の美しい景色を求めて こんなに遠くへ来てしまったの けれどどれだけぼくがそれを見つめても それはぼくの創り上げたものじゃない ただ受け取っているだけよ 大いなる誰かの大いなる計画 ただ享受しているだけよ…
ぼくたちは誰もが 異国語を話している 同じ言葉を話していると思っていても よく聞いてごらんなさい あの人の言う鏡と あなたの言う鏡の意味は異なる あなたの言う明日が あの人にとっての鏡となることさえあるの …
100歳のおばあさん 可愛らしい子供に帰るよ 0歳だった頃の 自分自身に戻るよ どのような人間に仕上がろうとも ぼくたちはやがて子供に帰るよ 根源にどのような添加物が付着しようとも 清らかに削がれて祖国へ戻…
たどり着く国によって 変わりゆくぼくの言葉を どうか灯火にしないでください 風は移ろい心は流れる 育まれた風土によって 移り変わる人間たちの姿を どうか道しるべにしないでください いかようにも心は翻る なぜ…
どこからが朝で どこからが夜か わからなくなります どこからが本当で どこからが嘘か わからなくなります ここは北の極み ムルマンスクの土地 冬の光も届かない異国 朝焼けがそのまま 夕焼けにな…
すべての心に冬が来る すべての心に雪が降る それを誰もが止められぬ 少しの祈りも消え果てて わずかの夢も散り果てて そして誰もが雪を見る まるで死へと向かうように 季節の終わる時を知る もう二度とは帰らない…
美しいものしかいらない 旅をゆく果てない線路の上で ありふれた偽物はいらない 直感だけが美を選び取る 軌道を横切る惑わしの風 列車を遮るまばたきの雨 わたしのからだは真空のように 妨げを通り抜…
ちょうちょをこの指でつかんだとき その羽根があまりに薄すぎるあまりに 自らの指の体温が 羽根を伝ってお互いに伝わり合う まさにそのようにして 夢と現つは重なり合った それはロシヤの朝の森 ふたつの岸辺は達し…
ウラジオストクの宿から持ってきた お茶の葉がついに途絶え あなたのくださった紅茶を淹れる日が とうとうやって来ました ここは北極圏・スオミの地 あなたの国とは異なります あなたはどうしているでしょうか 健や…