波紋

 

 

水がぼくらに光を投げかける
誰かの感性がそれに応える
応えられぬ清流のまばたき
誰にも見向きもされずに消える

波紋があてもなく広がる
澄んだものが動きもせずに輝く
ぼくの感性がそれに応える
水の感性がそれに呼応する

差し出した手紙を
受け取られないことは悲しい
宛先を記す筆は透明
行先を告げる文字は澄明

誰にも届かないことを知っている
それでも書き続ける腕に胸は震える
どこでもいいからと誰でもいいからと
願いながら心は砕けるわけじゃない

水と光の都が胸に広がる
共鳴する波紋が光を揺らす
受け取られた水に涙を流す
なにひとつ望まないふりして

本当はあなたをさがしていた
知っていましたか生まれる前から
注がれた水があること
絡みゆく光のあること

あなたが旅に出られないから
ぼくが旅立ち辿りつきました
誰にも知られない水と光
尊いからこそ形をもたない

 

 

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