誰もが言えない秘密を持っている
誰もが密かに何かを憎んでいる
誰もが密かに何かを妬んでいる
誰もが密かに何かに怯えている
秘密を告白すれば世界は崩れてしまうだろう
言葉は秘密を守るための固い城壁だった
あらゆる人間を秘密に近づかせないために
あらゆる人間を否定する日々は続いた
正しい人間だと思われたかった
まともな人間だと思われたかった
常識を持っていると見なされたかった
そうしてやがて人間ではなくなっていった
本当のあなたを抱きしめてあげよう
固い城壁を崩すのはいつだってやわらかな人の心
衣を脱ぎ捨てるよりもおそろしい覚悟で
ぼくは真理の言葉を初めてつぶやいた
ぼくの秘密をあなただけが知っている
本当のあなたをぼくだけが知っている
初めて言葉を話す赤ん坊のように
ぼくたちは胸の底の悲しみを告白した
〜欺くための言葉はもう要らない〜