モスクワの市場

 

たくさんあるものの中から
どうしてしてそれを選ぶのだろう
自分自身のことなのに
なにひとつ説明できない

たとえ巡り会っても交わし合う言葉もなく
ただ通り過ぎるだけの人もいるね
たとえ巡り合っても比べ合って
帰らぬものになることもあるね

それを悲しいなんていちいち嘆いていたら
ぼくたちは生きていけない
数知れぬ別れを繰り返しながら
悲しみなんて受け流して生きていく

何によって選ばれたのならば
ぼくの心は救われるのだろう
愛する人 見知らぬ人 大いなる集団
その答えを確かに持っている

選ばずに別れゆくものたち
いつの日かまだ出会えるのかな
選ばれずにすれ違うものたち
もしかしたらどこかで会っていたかな

永劫の輪を描く時間の中で
あらゆる森羅万象はつながりあい
もう出会いや別れを惜しんだりしない
ぼくたちはいつもたったひとつを担ってゆく

 

 

 

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