触れ合う果実

 

ぼくたちだけの秘密
誰にも知られてはいけない
それなのに幸福は
光の部屋の中で起こされた

触りあう果実が
どちらもとけそうになって
少しでも強く握れば
砕けて落ちてしまいそう

君が誰にも見せない
果実の形をぼくは感じる
ぼくが誰にも見せない
果実の熱さを君に伝える

ぼくはぼくの果実を触るのが
いちばん幸福なはずなのに
君の果実を感じるだけで
どうしようもなく食べたくなる

他の果実を触ったって
ぼくは何も感じないのに
君の果実を触るとまるで
自分のが触られたように潤うんだ

滲んでいる潤いを
君は嬉しそうに触った
ぼくは君にしがみついて
おさえられない声を漏らした

 

 

 

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