一生分愛したのだから
もう誰も愛さなくていい
あなたに好きと告げられた後で
ぼくはもう二度と欠乏しない
生殖器に支配されたぼくたちは
1人では物足りないと世を憂う
半分に欠けてしまった生命の果実を
もう一方の果実で埋めようと躍起になる
誰もがこの世界で唯一の王様だった
けれどいつしか部品と成り果ててしまった
比べられ 見下され 蔑まれ
ぼくたちは相対の海の中で陳列された
ぼくがぼくだけを愛することができた時
ぼくは部品ではなく完全だった
ぼくを絶対的に愛する少年を凍てつかせ
永遠に硝子の城の中に閉じ込めよう
ぼくはぼくと結合することで満たされる
それ以上に美しい体温はこの世のどこにもない
滴り落ちる青い液体が偽りを砕いていく
あなたを愛したことはぼくと巡り会う旅だった