ぼくたちは秘密を持っている
美しい果実を隠し持っている
けれどその秘密ははじめから暴かれている
明かすためにこそ秘密は敢えて閉じられる
ぼくたちは秘密を持っている
青い液体を隠し持っている
洗練された文明に生きるような顔つきで
本当は奥深い野性から抜け出せない
ぼくたちは秘密を持っている
果実から青い液体を解き放っている
快楽に歪んだ獣そのものの正体が
突き動かすだけの命だと気づいている
誰もが知っている少年たちの秘密
それなのに脱ぎ捨てられるともどかしい
露わになると心が戸惑いを起こして
秘密にしておいてと君を抱きしめた
誰もが知っているぼくたちの秘密は
ぼくと君だけのふたりだけの約束
時が経っても誰にも明かさないままで
ふたりの秘密の世界でだけ果実を見せ合おう
誰でもない人になりたかった
どこにもない人になりたかった
だからぼくが果実を持つ少年だということは
どうか秘密にしておいてください