果実の先端〜最果ての岸辺
どうしてそんなに 先端をさわるの 先端に触れるとぼくの声が ふるえることを君は知ってる それでも時には 先端を避けるの 避ければ避けた分だけ 先端が喜ぶことを知っている ぼくの果実は動くのをやめない 君の手…
どうしてそんなに 先端をさわるの 先端に触れるとぼくの声が ふるえることを君は知ってる それでも時には 先端を避けるの 避ければ避けた分だけ 先端が喜ぶことを知っている ぼくの果実は動くのをやめない 君の手…
たとえ世界を一周しても 一生部屋の中にいても同じ 聡明な命ならば 川を渡り終えるだろう どのように渡ったかは知れない 誰も知ることがないそれほどに 彼らは此岸から彼岸へと消える なんの物音も立てずに 橋をか…
どこからが水で どこからが陸なの どこからが森で どこからが街なの フィンランドは迷いの国 閉ざされた過去たちが舞い散る いたるところに架けられた橋 どこからか走り去る白いうさぎ どこからが人…
あふれ続ける青い液体は ぼくが野性であることの証し とめどなく流れ出る印し ぼくは完全に人間になれない もはやなくなったと思っても すぐにまた果実は満たされる 果実に蓄えられる生命の幸福 果実からあふれ出る…
地球の美しい景色を求めて こんなに遠くへ来てしまったの けれどどれだけぼくがそれを見つめても それはぼくの創り上げたものじゃない ただ受け取っているだけよ 大いなる誰かの大いなる計画 ただ享受しているだけよ…
ぼくたちは誰もが 異国語を話している 同じ言葉を話していると思っていても よく聞いてごらんなさい あの人の言う鏡と あなたの言う鏡の意味は異なる あなたの言う明日が あの人にとっての鏡となることさえあるの …
100歳のおばあさん 可愛らしい子供に帰るよ 0歳だった頃の 自分自身に戻るよ どのような人間に仕上がろうとも ぼくたちはやがて子供に帰るよ 根源にどのような添加物が付着しようとも 清らかに削がれて祖国へ戻…
たどり着く国によって 変わりゆくぼくの言葉を どうか灯火にしないでください 風は移ろい心は流れる 育まれた風土によって 移り変わる人間たちの姿を どうか道しるべにしないでください いかようにも心は翻る なぜ…
どこからが朝で どこからが夜か わからなくなります どこからが本当で どこからが嘘か わからなくなります ここは北の極み ムルマンスクの土地 冬の光も届かない異国 朝焼けがそのまま 夕焼けにな…
すべての心に冬が来る すべての心に雪が降る それを誰もが止められぬ 少しの祈りも消え果てて わずかの夢も散り果てて そして誰もが雪を見る まるで死へと向かうように 季節の終わる時を知る もう二度とは帰らない…