バブーシュカ
ウラジオストクの宿から持ってきた お茶の葉がついに途絶え あなたのくださった紅茶を淹れる日が とうとうやって来ました ここは北極圏・スオミの地 あなたの国とは異なります あなたはどうしているでしょうか 健や…
ウラジオストクの宿から持ってきた お茶の葉がついに途絶え あなたのくださった紅茶を淹れる日が とうとうやって来ました ここは北極圏・スオミの地 あなたの国とは異なります あなたはどうしているでしょうか 健や…
氷を踏んで どこまでも行こう ノーザン・ライツが見えるまで ノーザン・ライツが見えるまで 星空の夜をください 月のない暗闇をください ノーザン・ライツが見えるまで ノーザン・ライツが見えるまで 地響きの音が…
ぼくの中の少年が呼ぶよ お母さんのところへ帰りたいと どうしてこんなに遠くの国まで 訪れてしまったのだろう 旅人の炎が燃え盛る どこまでも見知らぬものを追ってゆく ぼくの中の少年が泣き叫ぶ 本…
旅がぼくを洗い流す 清らかな風で洗い流す これまで生きて来たこと これから生きていくこと すべてをなかったことにする 過去を省みること 未来を思い案じること 虚しい時間を荒野の中へ返す イマ旅をしていること…
ぼくに幸福が訪れるのは 与えられたときではなかった ぼくが生まれた意味を知るのは 愛されたときではなかった それはまさに与えるとき 与えられたように幸福を呼び醒す 天へ向かって与えるときに 授けられたように…
与えられることだけが ぼくの生きてゆく習いだった 生かされたことだけが ぼくのたったひとつの償い どうかゆるしてください 与えうる何もないこと どうかわかってください 生かしうるすべもないこと 申し訳なさそ…
たくさんあるものの中から どうしてしてそれを選ぶのだろう 自分自身のことなのに なにひとつ説明できない たとえ巡り会っても交わし合う言葉もなく ただ通り過ぎるだけの人もいるね たとえ巡り合っても比べ合って …
旅人たちの間で 挨拶のように交わされる言葉 異国を旅する者ならば 必ず聞かれるこの言葉 ウェア・アー・ユー・フロム? ウェア・アー・ユー・フロム? わたしがどこから来たかというのは わたしがいちばん知りたい…
わたしがわたしでなかった頃を この鉄道は呼び醒ます あなたがあなたでなくなる日を 真空の胎内に宿してゆく 肉体が生まれたこと 精神が生まれたこと 心が生まれたこと どれを境いになにを帰す 心が滅びること 精…
あなたは確かにわたしを知っていた どことも知れぬ軌道の彼方に わたしの涙を確かに見ていた わたしは今証しを指し示す わたしは確かにあなたを感じてた 永遠をゆく旅路のどこかに けれど転轍が忘却を助けた あなた…