愛されることを待ちわびて
愛することに後ずさって
人生は過ぎていった
どちらかを選ぶことなしに
与えられることに憧れて
与えることを疑って
時は流れ去っていった
どちらをも選びきれずに
ぼくがぼくを愛したならば
ぼくはぼくに愛されている
ぼくはぼくを愛している
両方を担うことができる
ぼくがぼくに与えたならば
ぼくはぼくに与えられる
ぼくはぼくに与える
ふたつを補うことができる
こんな簡単な答えをさがし出すために
どうして迷っていたのだろう
どうして泣いていたのだろう
行先さえなくしたように感じて
ふたつに分け隔てられた世界の
どちらへも傾きたくなくて
生きる限り生命は傾いて
引き裂かれる思いを抱えて走った
本当は少年の頃から知っていた答え
誰もが胸の中に隠していた答え
ぼくはやっとたどり着いた
今夜ぼくはやっと眠れる
誰もが自分を愛していた
誰もが自分を正しいと思った
その万能感を今思い出す
ぼくの奥底から清流が流れくる
自己愛を捨てなさいと
大人たちは諭した
傲慢を退けなさいと
社会たちは説いた
だからこそ魂たちは道を失う
いわれもない無益な習わし
説明のつかない愚かな強制
すべては今、解き放たれる時
あなたを少年へ帰しなさい
そしてあなたはあなたを愛しなさい
それだけがふさわしい答えだった
正しさも間違いもない世界へと
男を取るのか女を取るのか
生を取るのか死を取るのか
彼岸を取るのか此岸を取るのか
明日を取るのか昨日を取るのか
瞳は今、覚醒を知る刻
植えつけられえた無限を抜けて
澄んだ真空の宇宙へと
旅立ちの列車は鳴り止まない
ぼくがぼくを深く愛そう
あなたはあなたを愛しなさい
どこまでも終わりのない旅
欠けた半分は鏡の中にいた