波紋
水がぼくらに光を投げかける 誰かの感性がそれに応える 応えられぬ清流のまばたき 誰にも見向きもされずに消える 波紋があてもなく広がる 澄んだものが動きもせずに輝く ぼくの感性がそれに応える 水…
水がぼくらに光を投げかける 誰かの感性がそれに応える 応えられぬ清流のまばたき 誰にも見向きもされずに消える 波紋があてもなく広がる 澄んだものが動きもせずに輝く ぼくの感性がそれに応える 水…
未来を思い煩わなければ この世では生きられない 遅ければ遅いほどに 自らが損をする浮世だ 未来宛の自分に チケットを買ってゆく アムステルダムまでのバスを あなたへと届ける その先にあるものは…
モーゼが大海をふたつに分けるように 思想が人の間を深く切り刻んでゆく まつりごとの果ての岸辺に血はながれ ありもしない境界に惑わされて終わる なにによって人はわけられる 言語血筋宗教思想肌 なぜに人はこの世…
スイスで見つけた青い宝石 それは高く天へと舞い上がり 人の手には届かない宝石 神々の白い山脈を行き来する あるのかないのかわからない点滅 どちらにせよ知らされる澄明 有象と無象を旅するための透…
知らない間に氷の上を 歩いていました疑いもせずに 土の上を歩いていると 思い込んでいたんです この命は土の上でしか 生きられないと信じていました それゆえに土を尊く感じて それゆえに土を信仰し…
この世から立ち去れば みんな仏になる この世から立ち去れば みんな宝物になる 生きているうちに誰かを 仏と呼びたいわ 生きているうちにあなたに 宝物だと告げたい 命が終わり果てれば あらゆるものはゆるされる…
重き荷を背負えば 歩みもはるか遅くなる 容易く行けた場所に行けなくなる 誰もができることができなくなる 重き荷が見えるものならば 手を差しのべてくれるものもあろうが ぼくにしか見えない荷物 あ…
詩的な光をさがしている それ以外は何もいらない たとえこの肉体が滅び去っても 詩的な光が残るだろう 南仏の春の淡い光 プラハの朝の遠い光 台南の夏の黄の光 ビルマの夕暮れの紫の光 名を残して何…
人間たちが自らの密かな残酷さを 目の当たりにするために集う 荒野の先にあるのはさらなる残酷か あるいは平和という名の幻影への居直りか 人間が残酷でなかった時代など どこにあったというのだろう …
旅立つことをおそれないで すぐにまた帰ってこられる 人は帰りつかずにはいられないもの どんなに明日が来なくなっても なにもかもを失くしても すぐにまた満ちる日が来る 喪失の中にある出離を ため…