ぼくたちは誰もが
異国語を話している
同じ言葉を話していると思っていても
よく聞いてごらんなさい
あの人の言う鏡と
あなたの言う鏡の意味は異なる
あなたの言う明日が
あの人にとっての鏡となることさえあるの
同じ言葉を持つと思えば擦れ違う
同じであればあると思うほどに
人々の異なりは広がりを見せる
まるであてのない海のように
誰もが同じ言葉を
話していたこともあった
たとえば生まれたての赤子の時
ぼくたちは皆同じ言葉を持っていた
今となっては遠い昔の話
あらゆる波の彼方の物語
すべての言葉が異なりを鳴らす今では
道筋を教えてくれる人さえいない
どこへ行ったのだろう
人間の祖国の言葉
誰もがそれを話していたわ
確かに同じ意味だけを持って
どこを彷徨っているのだろう
ぼくたちの真実の言葉
英語よりも中国語よりもスペイン語よりも
誰もに通じる不思議な言葉
さがしてもさがしても見つからない
尋ねれば尋ねるほどに遠ざかり
それはもうはるか昔のさざ波
ぼくたちが生まれる前の鼓動の光