存在するだけで影を作り出し
誰かに涼しみを与える
揺れる木の葉とその音が
心へと風を通り抜けさせる
揺れる木の葉の影を見れば
風の姿を教えられる
見えるはずもないものを見て
ぼくたちはもうひとつの目を持つ
ざわめく木の葉の擦れる音が
風の動きを伝えていく
聞こえるはずもないものが聞こえて
よりいっそうの清涼を加える
見える風
聞こえる風
感じる風
けれど誰も風を掴める者はない
ありもしないものを名付けさせる
樹木はぼくらの次元を拡張させ
夢想することをゆるしてくれる
古代からずっと人間に影を落とす