真実は懐かしさの中にあるという。
もしも誰の懐かしさにもなれないのなら、
時が経つごとに真実を零しながら、
偽物だけを掴み取っていくのだろうか。
虹色に光るあなたの写真を見ていた
ぼくはあなたの懐かしさになれたのだろうか
ぼくなしで進んでいくあなたの生命に
深く真実を刻みつけるだろうか
悟りを開き真実を諭す者たちは
ただ思い出の中を漂うだけの魚たち
聞く耳も持たないで自分だけの記憶の海を
人は冷たく孤独に泳ぎ切るしかない
あなたはぼくの懐かしさにならなかった
あなたはいつだってぼくの中で今だった
一瞬で燃え盛り消えてしまう炎が
無限に連なってぼくの生命を灯すよ
あなたにしか持てなかった肉体
ぼくにしか持てなかった心
けれどすべてを脱ぎ捨てて分かち合えば
ふたりは何もかも同じ形をしていた