明日にはもう会えなくなると
もしもわかっていたならば
ぼくたちはどんな悪人にさえ
憎しみでなく慈しみを注ぐだろう
別れを促す扉の鍵が
既に解き放たれていることを知るならば
ぼくたちはありふれた人々を
宝物だったと思い出すだろう
ただ生きるだけではゆるされませんか
明日また出会えるのだという普通が
いつしか指からこぼれ落ちて
もう拾えなくなる時を知る
ありがとうとも言えず さよならも言えない
必ず別れ合う定めを恐れるのなら
ありがとうと言おう さよならと告げよう
いつどんな時でもあなたに
まるで最後のような顔をして
ありふれた時を過ごすぼくを見て
あなたはおかしく思うでしょう
滑稽だと笑うのでしょう
ぼくの生命は点滅する悟り
いるようでいない 会えるようで会えない
あなたの生命は明滅する灯火
果てしなく近く 果てしなく遠い
わかり会えないことを分かち合おう
必ずぼくたちが別れゆくならば
今も出会ってさえいないのだと笑おう
究極の岸辺に立ちすくむぼくは