ナイことよりもアルことの方が嬉しい
アルことよりもナイことの方が虚しい
少年たちは自らの果実を誇りに思う
ナイことは恐ろしいと天に向かって歌いながら
すべての人間に余れる果実がナケれば
ナイことはナイことにならないのに
アルこととナイことに分けられたぼくたちは
いつまでもアルこととナイことを気にする
アルはずのものがナイのだと
自らを欠落だと見なす少女たち
何もナイことなど思いもよらないと
誇らしく少年は自らの果実を天にさらす
いつの日か肥大した果実に支配され
青い液体を無尽蔵に作り出した暁には
見下していたナイことを必死に求めて
浮世を彷徨い歩くとも知らないで
ナイことよりもアルことの方が嬉しい
ナイことよりもアルことの方が愛しい
そんな風に歌う少年はぼくだけになった
ぼくだけがひとりぽっちで あの日のまま果実を信仰した