言葉の霊力

 

文字を持てば
過去を残してしまう
過去はやがて捻じ曲げられ
濁った真実が世にはびこる

残すなんて不潔だ
もしも文字を持たなければ
言葉は瞬間の炎の中で
美しく始まり終わることができたのに

言葉は霊力を持つけれど
それはたちまち消えてしまうからこそ
残ってしまう運命を持った
文字には霊力が宿るのか

けれどぼくは
文字がなければ詩が書けない
あなたに伝えることができない
美しい衣を織られない

たったいちどで消え果ててしまう
美しい言葉の霊力を
あなたに授けることができたなら
ぼくはどんなに誇らしいだろう

なにひとつ残らないけれど
なにひとつ示さないけれど
そこには確かに誕生するんだ
一瞬と永遠が絡まった光が

 

 

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