ぼくを棄てた海
歌に導かれてやってきたのは 訪れたこともない碧い海の彼方 旅するように生きていくのは あなたに吹き付ける波の姿と同じ あたたかに迎え入れた島の掌が ぼくの命に冬を注ぎ込んだ まさぐられる果実に…
歌に導かれてやってきたのは 訪れたこともない碧い海の彼方 旅するように生きていくのは あなたに吹き付ける波の姿と同じ あたたかに迎え入れた島の掌が ぼくの命に冬を注ぎ込んだ まさぐられる果実に…
見えない果実をぼくにください あるのかないのかもわからない 不確かな果実をぼくにください 掌の中の熱さだけが手がかり 抑えることのままならない幼さに ふりまわされるぼくを君だけが知る 触れられ…
雨の音かと思った爆竹の襲来 途切れることない白装束の人々 何が起こったのかわからないまま 異国の夜は深まってゆく 何があったのですかと問うのは容易い されど答えを求めるばかりの命なら 淋しいの…
ぼくの抱えてきた罪の数を あなたは決して数えきれない 誰にも見えない多くの傷を まとって生きてきたから これがぼくの罪だと 肌を見せながら自由になりたい けれど決してゆるされないから 青色の衣…
ニライカナイの碧き海に咲く 紅をになう幻国の名は琉球サンゴ 色とりどりの魚たちに守られて 人の世からはるか離れて沈む 果てしない碧の真ん中には 伝説に彩られた紅を生き抜く 誰も知らない歴史を湛…
いつまでも少年のように旅をしよう いつまでも片想いの少年のように 想いが叶うことを知ってしまった 大人のようにはならないために 届くはずもない炎を胸の中に秘めて 世界へ向けて透明に問い続けよう…
あらゆる少年は自らの果実に支配され やがて果実のために生まれてきたのだと信じる あまりに強い果実への感受性に 少年たちは飲み込まれ夢中になる 果実に触れられる手を求め彷徨う 果実を温めるための…
ゆるされないことを祝おう ぼくたちはぼくたちのままで ゆるされないのに愛していると 交わし合ったことを忘れない ゆるされているものならば 誓い合うことはいとも容易い その先にある温かな安堵 誰…
止めようと思っても とめどなく溢れ出てしまう ぼくの肉体なのに ぼくの言うことを聞かない 掌で抑え込んでも 天を向き隆起してしまう ぼくの果実なのに もはやぼくの肉体ではない ぼくがぼくでなく…
何ひとつ失くさない 命などあるものか すべてを失くして すべては生まれる 何ひとつ愛さない 命などあるものか 愛から滅びて すべては始まる 行方を知らされない魂だけが 抱くことをゆるされる羅針…