渡らず島

 

島の空は移ろいやすいものですから
今でなければならないと急ぎません
たとえ今は彼方の島に渡れなくても
いつか渡るための幻がわたしの中に残される

人の心は移ろいやすいものですから
あなたに辿りつき得ぬことを恐れません
一度触れたことが夢であったかのように
あなたは巡り会うことを待つ潮の中の島になる

いくつもの美しい青を与えられ
いくつもの美しい光を与えられ
これ以上満たされることを望む波のように
主のいない貝殻は投げつけられた

もう二度と愛することはないだろう
もう二度と愛されることもないだろう
あの島の砂をこの足で踏むことは
あの島へと渡れないよりも悲しいことだった

いつ現れるとも知れぬ島を待ち続け
いつ現れるとも知れぬ宙を待ち続け
たとえこの肉体が終わってしまっても
わたしはあなたという島を眺めている

またいつか またいつかと

 

 

ブログランキング・にほんブログ村へ

島巡りの水色

まぶやー、まぶやー