のびゆく爪は
ぼくがこの身に閉じ込めた樹木
意識とは別に伸び盛り
ぼくに何も伝えない樹木
ぼくと樹木は絡みつく
どこからどこまで絡みつく
自分の力で生きていると信じた
傲慢さが砕け落ちる
願わないのに傷つける爪
知らず知らずに身を守る髪
心ならずとも消化される管
恥じらいもなく蓄えられる青い液体
ぼくの中に何かがいる
ぼくの中で誰かが住む
うろたえまい 逃げ出せまい
ぼくではないものたちと共に生きる
有情と非情が重なり合う
無意識と意識が交錯する
動物のように大地を駆け巡りながら
植物のように精神を静めている