我が魂は紀伊山脈へ帰る

 

 

時の流れに救いを求められないとしたら
ぼくを救ってくれるものは一体何だろう
かつて一度は死んでしまった魂が
再生の飛翔を夢見て立ち尽くしている

もはや神がぼくを見捨てているというならば
ぼくを救ってくれるのはこの世の誰だろう
訪ね歩いても見当たらない虚空で
ゆるされぬ恋の終わりをまだ書き終えない

救済は世界に隠されているのだろうと
あらゆる秘境の美しき聖域を巡った
救済は他人に潜んでいるのだろうと
すべての民族の神秘的な物語を聞いた

魂は 八つ裂きにされた魂は
どのようにして再生へと導かれるのだろう
死ねば終わりだと信じ込む人々の間において
輪廻転生の円環へと迷い込む通路はどこだろう

仏の国では解脱こそ魂の真の目的だという
けれどぼくの魂は再生を願った
もう一度生きた人間として生まれ変わり
ただ生きることの燃え盛るような輝きを刻みつけたかった

それが痛くても それがつらくても それが孤独でも
ぼくはいつまでも再生を祈っただろう
もう一度生きたいと願っただろう
不動明王のように必死の形相を携えて

世界のどこを彷徨ってみても
決して答えが見つからないというのなら
紀伊山脈の清流へと魂をとかそう
神々と仏と精霊の交わる祖国の海へと帰ろう

 

 

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もはや時流に救いを求められない