あなたがひどく痛む姿を見て
ぼくはあなたの痛みをわからないと告げよう
優しくすることはとても簡単だけど
嘘をつくことであなたを笑わせることをやめよう
共に苦しみを分かち合い
共に喜びを分かち合い
歩んでいくべきだと人の道は言う
分かち合うことがすべてなのだと
あなたの肌はぼくのものじゃない
ぼくの肌はあなたのものじゃない
ぼくたちの痛みを伝える神経は
それぞれに異なる川を遡ってゆく
あなたの心はぼくのものじゃない
ぼくの心はあなたのものじゃない
お互いにたどりつき得ぬ人の思いを
わかった顔して生きることほど浅ましきことはない
わからないからこそ美しい
共鳴しないからこそ誇らしい
ぼくたちだけの心の傷を
誰にも見せずに孤高に生きよう
あなたの痛みがわかるよと
偽りを解き放つ口先を切り裂いて
虚しい共感など届かない
青く透明な砂漠でなけなしの歌を歌おう
分かち合う偽りを保てば
生きることは易かろう
それなのに分かち合わない運命を
ひたすらに描きながら
ぼくたちは知っている
真実の聖なる巡礼の道の在処を
それは他人や歴史が指し示すものではなく
自らの中から湧き出でる清らかな水音
永遠に濁らないことを約束してくれ
海の彼方の常世にぼくの祈りは宿されて
ゆるされた聖霊は美しき時を紡いでゆく
もう二度と戻れないと果てしなく泣きながら
