巡礼の荒野
少年が絶対的な存在を生きるとき 彼はまだ巡礼の道に気づかない 燃えさかる一瞬の炎を貫き通して 広さのない点でしか世界を見出せない あちらからこちらへと渡るからこそ はるかなる巡礼の道は示される…
少年が絶対的な存在を生きるとき 彼はまだ巡礼の道に気づかない 燃えさかる一瞬の炎を貫き通して 広さのない点でしか世界を見出せない あちらからこちらへと渡るからこそ はるかなる巡礼の道は示される…
祖国も異国もこの地で混じり合う 誰がこの地を祖国と名付けたのだろう わたしの祖国はどこにもありはせず はるかなる異郷だけが瞳に映される 異国を彷徨えばわたしは異物だと 開き直って人を慈しむこと…
誰かのために歌を歌わなくてもいい 理由がために足を走らせなくてもいい 無意識の熱の真ん中を純粋さと孤独が貫く ぼくはまだ 水色の夏休みの少年 ありふれた木のさざめきが霊を伝い 光に揺れるせせら…
使命をねじ曲げられた者たちは 運命を妨げられた者たちは 願いを魂の中にまでも引き継がれ 死を超えてでも炎の願いを叶えてゆく 物を盗むということよりも 人を殺すということよりも 罪深きことがこの…
わたしの行方を知りたいならば わたしの胸をこじ開けるがよい 何もない真空の宇宙の広がりに おまえの全ては飲み込まれるだろう わたしの秘密を知りたいならば おまえの秘密を打ち明けるがよい わたし…
ぼくたちは幸せになるために生きている その道のりはそれぞれ違うけれど 人は様々なものを求めて彷徨うように見えて 結局はただひとつ幸福への道を目指している どのような道をゆけば たどり着くのだろ…
ぼくが神様を感じるのなら それはどこにでもある木漏れ日の揺れ 夏の青い木々が伝えるさざめきのどこかに 深い神様の眠りが光っては消える ぼくが神様を感じるのなら それは清流の水面に一瞬で終わる煌…
あなたの人生にもありましたか 誰にも支配されないささやかな時代 ただ自分だけに支配される健やかな時代が ぼくにもまた訪れる足音が聞こえる 誰にも支配されたくないと がむしゃらに浮世を飛び出して…
お遍路は輪廻転生の道のり ひとつ終わればひとつ始まる ひとつ極まればひとつ飜る その繰り返しが世界を象っている 誰もが命の終わることを嘆き悲しむ 終わることは巡りの点だと道は語る 口で説明され…
極めて清らかな水でさえ ひとところに留まっていては穢れゆく ぼくたちが神性を感じるのは 停滞する水ではなく激流だ あらゆる水の姿を押し流せ 今という一瞬すらなかったかのように あらゆる過去の夢…