怒りの遺伝子

 

 

高野山のさらに奥深く
奈良の秘境で生まれ出た荒魂(あらたま)が
時を超えて 生死を超えて
ぼくの魂へと乗り移る

貴女の怒りは美しい
偽物の思いやりも野暮な協調性も脱ぎ捨てた
純粋な根源の怒りが突然に光を解き放ち
平和な浮世に無秩序な衝撃を与える

大人しい日本の民族は貴女を嫌うだろう
何もなかったかのように虚構の中を生きられたならばと
けれど貴女の濃厚で絶えることない怒りの炎が
この国の天災のようにとめどなく降り注ぐ

貴女はぼくを宝物だと言った
ぼくも貴女をかけがえのない人だと悟った
ぼくが琉球の島々へ帰るときに見せた
貴女の透明な涙をぼくは忘れない

貴女はこの世から遥か遠ざかり
肉体も言葉も失ってしまった
けれど怒りは 美しい怒りの炎だけは
ぼくの根源へと引き継がれ安らかな浮世を乱してゆく

 

 

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射精は快楽であるというのは本当か? 〜必死と、怒りと、性の悟り〜