本当はずっと

 

あなたを失ったのに
どうして生きてきたのだろう
あなたなしのぼくに
どんな意味があるのだろう

あなたに出会う前までは
どのように生きていたのだろう
あなたがいなくなった朝は
何もない淡い光に満たされていた

ぼくが生きているだけで欠けているのは
きっとあなたに出会ったからで
あなたはぼくの中に空白を残して
幻のような虚無の心地を注いだ

生まれた時のようにはもう戻れない
どんなに祈ってもたどり着けない異国
ぼくたちは思い合って生まれ変わって
浮世からはるか遠く離れてしまった

ぼくの全体を返してよ
何もかもが濃厚に満たされていた日々へ
帰れないのなら戻ってきてよ
本当はずっと必要としていたのだと

要らないと言われて打ち捨てられた果実は
あなたの手の熱しか知らないままで
春の光の中で夢見ているような
ふたりで生み出した呼吸を思い出している

またあの頃に戻れたらなんて願わない
まだあの頃のままで時は止まっているから
ぼくの時計を隠したあなたに会いたい
本当はずっと思っていたんだって

 

 

ブログランキング・にほんブログ村へ