異国へと広がり 祖国へと深まれ

 

 

ゆるされない旅立ちを燃やしながら
ありもしない境目を越えよう
ぼくたちが異国と呼んでおそれたものは
紛れもない祖国の名前だった

あなたとぼくは不思議な双子
あなたがいたからぼくが生まれた
ぼくがいたからあなたは生じた
互いが互いに鏡をかざし合う

ぼくがあなたを知るたびに
ぼくはぼくに詳しくなる
ぼくがぼくを見つめるたびに
ぼくはあなたへと心奪われる

砕かれてしまえばどうなるだろうか
ぼくの鏡とあなたの鏡
ぼくとあなたはひとつになって
永遠に巡り会わない運命を砕けるだろうか

異国へと広がり 祖国へと深まれ
ぼくたちに残された道のりは
とめどなくあふれ来る青色の迷宮
根原の清流の冷たさが足に痛い

 

 

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