本能の遡上

 

花を咲かせることを
誰にも教えられずに
木々は花で世界を彩りながら
生きることを眩ます

人を愛することを
誰にも導かれずに
ぼくたちは寄り添い合い
生きることを忘れる

はるか遠くの彼方から
聞こえてくるような風向き
はるか時流の彼方から
伝えられて来る道しるべ

何ひとつ教えられなくても
知っていることが確かにある
何ひとつ学ばなくても
既に決められた約束がある

命が始まる前から
記憶していた古えの理りを
握りしめて走り出すよ
この世のあらゆる生命はどれも

決められた地図たちが
ぼくたちの生命を彩って
閉ざされた未来へと
ぼくたちの未知を当てはめる

ぼくたちは押し上げる
既に決められたすべてのものたちを遡り
清らかな創造たちを舞い上げる
たとえそれが本能の宇宙であっても

 

 

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