運命の魂

 

 

会いたくて会いたくて仕方がない
それなのに誰に会いたいのか思い出せない
あの人に会えないと泣いているのは
思い出せないための代わりかもしれない

青い液体だけがぼくたちの縁だろうか
濡れた果実だけがぼくたちを引き寄せるだろうか
あらゆる肉体と本能を超越した次元で
呼び合うための運命が目を醒ます

好きだと交わさなくても求め合える
キスして抱きしめ合わなくても通じ合える
快楽を共有しなくてもつながり合える
そんな誰かがぼくたちにはいる

巡り会えそうなのに巡り会えない
たどり着けそうなのにたどり着けない
けれど魂の根源ではいつだってひとつになる
そんな誰かがあなたにもいる

あまりに若くて健やかな果実が
少年たちに青い液体のことばかり考えさせてしまう
けれどぼくたちの本当の運命の人は
青い液体を解き放つための肉体ではない

それはまだ巡り会ったことすらない色彩
それは姿かたちすらままならない揺らぎ
はじめからひとつになることが約束されながら
離れ離れとなってそれぞれに旅立った魂

どうせひとつに戻るのだから嘆くことはないだろう
やがて巡り会えるのだから孤独すら美しいだろう
ぼくたちの旅路が青白い冬であればあるほど
その先で訪れる春の夢は尊い輝きを増すだろう

(どうか今は巡り会わないままで
どこまでも続くかのような終わりなき悲しみを受け入れて
永遠に巡り会えないからこそ美しい物語
紡ぎ出す悲痛な悟りが芸術を発散する)

 

 

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