旅と茶
生きていくためだからと 蓄え続けた 見境もなく けれどやがて手放すべき時を知る 巡礼の旅に出かける運命を知る 蓄え続けて 蓄え続けて それをいつ使うべきかを人は知らない 最期の時にぴったりと器…
生きていくためだからと 蓄え続けた 見境もなく けれどやがて手放すべき時を知る 巡礼の旅に出かける運命を知る 蓄え続けて 蓄え続けて それをいつ使うべきかを人は知らない 最期の時にぴったりと器…
真実を知るために 時の流れを遡れ たったひとつの源流に 清らかな水の光をさがせ 命が海へと広がりゆけば 迷いも恐れも連なるだろう 戸惑いを急かせる声は震え 洗脳たちが濁りを選ばせるだろう 未来…
海へと駆け下りる階段を覚えている 青く光輝いていたのも束の間 やがては淡く薄い夢のように 彼方へと消えて行ってしまわないで 艶やかに咲き誇るコクリコの群れ 青空に映り込む教会の白さ 麗しい海と…
海であるのか 空であるのか わからない色どりが アグリジェントの宙に浮いている イタリアという国の深さを 異国にいるぼくたちは計り知れない なにひとつ知らない顔をして 明るさだけを照らされてい…
この世の果てしない穢れを注がれて ぼくは浄化のための旅に出る この身を清らかなるものに帰すまでは 決して浮世へと戻りません なぜ旅に出るのですかと 瞳の濁った者は問う 旅に出なくても生きられる…
光が水に乗り天空を飛び散る 美しき白亜の泉 プレトリアの泉 ギリシアの神々が運び伝える 時を超えても変わらない人間の肉体 誰の目にも美しいのは ただ肉体だけだと 刻まれる彫刻のなだらかな群れ …
たとえすべての人間が おまえひとりの悲しみさえ担わなくても おまえはすべての人間の 悲しみを背負う翼であれ たとえ世界のすべてが おまえを無視して見向きもしなくとも せめておまえだけは世界の片…
平野の穏やかな水を憎んでいた 安らかな時を嘆いていた もっともっと胸に迫り来る鼓動を もっともっと差し迫る激流を 人間はいつしか安寧を求めて 山脈を退き平野に群がる あらゆる都会は平野の中の砂…
あらゆる問題提起にさらされて ぼくたちの生命は成立している 群れの膿瘍の中で社会の風を吸い込み どこまでが自分でどこまでが他人 すべての人間の問題を受け止めていたら 命がどんなにあっても足らないわ 真実にこ…
何かになりたいという呪いを かけられてはいないか 何かになることで部品にされる その命は踏みにじられてゆく 何にでもなれるという日々を 思い出してみないか どこまでも広がる夕暮れの空の中で 彼方からやって来…