山脈の血管

 

 

わたしの血縁をさかのぼり
巡り会うのは遥かなる他人
わたしの魂を伝って
たどり着くのは遥かなる兄弟

誰もが神聖だと告げる
道を行くことは人には容易い
されど自らの巡礼の道を
見いだすことこそおとろしい

美しきものへと差しのべる
腕がとけてなくなる
懐かしきものへと寄り添う
肉体が明日をも生み出す

神も仏もあるものかと
移ろいながら浮世を彷徨い歩いた
自分しか信じられないと
曇りなき自分を崇め奉った

ぼくの中に血脈が張り巡らされるように
山脈のすべてに清流の神聖が行き届く
いつしか海へと帰る灯火のように
安らかな愛はあらゆる天に染まっていく

 

 

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