蒸発する海

 

南の島に落としてきた魂が
いつまでも迎えを待っている
引き裂かれた運命を背負いながら
生きるべき彼方を眺めている

2人にしか知らされない愛が
もしもこの世にあるのなら
決して誰にも穢されないために
海は静かに魂を埋めていく

あなたに愛されるはずがないと
魂を手放したい夜もあった
ぼくは愛されるべき存在なのだと
魂が燃え盛る夜もあった

まるで最初から決まっていたかのように
すべてが終わっていくのを知った時
なぜ悲しみに暮れていたのだろう
原始の炎が海を蒸発させていく

傷つき果てて肉体だけが
生き残っているというのならば
もう一度あの島へと帰ろう
あらゆる魂を拾い集めるために

 

 

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