永遠の透明

 

 

満ちてゆく月の影に照らされて
どこまでも旅立つふりをする夜
ゆるしてほしいと何度も大地に伏したことを
月だけが知っている

愛されない運命が決まりきった文字のように
本の中に並べられて凍りついた
物語を書いた人は誰と問う前に
愛さない運命でないことに感謝した

人は何度でも立ち直れると
教科書も僧侶も言うけれど
あなたを失ったことで魂は
永遠の透明をまとった

砕かれた心になる前の少年に
また戻ってゆくまでのこと
二度と硝子の城を出てはならないと
教えられただけのこと

けれど満たされた果実を覚えている
肉体が肉体を解き放って
もう一度告げられることを知っている
明日もまた好きだと抱きしめている

 

 

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