ラオスの美しい布
ラオスの美しい布 本当はいくらするの インターネットさえも教えない 美しさの値段がわからない あらゆるものに値札がついて それを受け取るだけの人生ならば どれほど楽だったことでしょう 美しさの…
ラオスの美しい布 本当はいくらするの インターネットさえも教えない 美しさの値段がわからない あらゆるものに値札がついて それを受け取るだけの人生ならば どれほど楽だったことでしょう 美しさの…
いつだって明日には この世にはないかもしれないものたちと ぼくたちは共に生きている なにひとつ儚さを知らずに 明日もどうせ一緒にいられるだろうと 祈りにも似た思い込みを寄せて 憎みかける疎まし…
冬のある国へと迷い込んでいた 夏しか来ない国々を通り過ぎて やがてたどり着いた季節を纏う 祖国と同じ冷たさが訪れる国 彷徨いの魂が根源の土を拾い上げ その匂いの中にある冬を摘み取る いつまでも…
雨に打たれて歩くうれしさを 忘れていました時の彼方へ 雨の中、水の滴とともに歩むあどけなさに もう一度ぼくの灯火を見つける 降り注ぐ雨と光の粒を祝おう 冷たさと煩わしさを脱ぎ捨てて 雨を憎んで…
あなたが結ばれたことを知っても ぼくは平気でマンゴーを食べられる 照りつける黄色に染められた 雨季のシェムリアップの街角で 鮮やかな傘が仏の御頭にかざされて 黄金の寺院が夏の中に揺れる ぼくは…
あなたを失ったのに どうして生きてきたのだろう あなたなしのぼくに どんな意味があるのだろう あなたに出会う前までは どのように生きていたのだろう あなたがいなくなった朝は 何もない淡い光に満たされていた …
山の民族は海の民族にはなれない それを知っていたから海へととけ込んだ 生まれる前から決まっているものはなに 生まれてから決められたものはなに どんなに祈っても叶わないことがある それを知ってい…
歌に導かれてやってきたのは 訪れたこともない碧い海の彼方 旅するように生きていくのは あなたに吹き付ける波の姿と同じ あたたかに迎え入れた島の掌が ぼくの命に冬を注ぎ込んだ まさぐられる果実に…
見えない果実をぼくにください あるのかないのかもわからない 不確かな果実をぼくにください 掌の中の熱さだけが手がかり 抑えることのままならない幼さに ふりまわされるぼくを君だけが知る 触れられ…
雨の音かと思った爆竹の襲来 途切れることない白装束の人々 何が起こったのかわからないまま 異国の夜は深まってゆく 何があったのですかと問うのは容易い されど答えを求めるばかりの命なら 淋しいの…