果実の冬の眠り

 

雪の降る音をわすれていました
はるか彼方の碧い国に住んでいたから
すべての分子が動くのをやめ
時が氷の中へと帰りゆきます

ふたつの果実を白い雪がつつみ
永久の眠りについたころ
やがて訪れる春の光だけをたよりに
夢だけが生きのびつづけます

死んでもなお生きています
時の氷の丘の上なら
生きると死ぬの扉にいます
まるでこの世のものではないように

還ってゆく季節の花の色を
輪の上に住む者たちだけが知っている
廻っていく命の果てない物語を
天空からの瞳が眺めている

IMAだけを見つめて
生き抜いている炎だけに与えられる
円環をゆく列車の窓から望まれる銀河
冬の底を超えてぼくは光へ向かうよ

 

 

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