少年にとっては果実以上に
価値のあるものなんてこの世にない
自らの果実を慈しむためだけに
少年達はあらゆる情熱を注いでいる
大自然の中では小さく見えても
ぼくたちの果実は宇宙よりも大きい
量れば少ない青い液体でさえ
少年にとっては大河よりも果てしない
ぼくたちは果実のために生まれてきたんだ
美しい果実を日の光にさらして
健やかな肉体と若く潤った果実が
また今日も滴らせる時を待っている
愛よりも恋よりも果実があれば良かった
この果実がある以上の幸せはなかった
果実のない方の人間に生まれなくて良かった
何もない人間に生まれなくてよかった
美しい春の果実が木漏れ日に揺れると
海も大地もぼくたちを祝福した
青い液体は永遠に果実へ生まれきて
いつもぼくたちに生きる悦びを与えた
