ぼくはあなたの悲しみを知らない

 

絶望に打ちひしがれるあなたを見て
ぼくは何もできない
ぼくができるただひとつのことは
自らの悲しみを書き綴ることだけ

助けを差し伸べる手を見せつけられても
ぼくは救うことができない
ぼくがすべきただひとつのことは
この生命が担う宿命を深めていくことだけ

他人の憂いに慈しみをかけられるほど
人生は甘くはなかった
誰もが必死で生き抜いているこの浮世では
見知らぬ運命を見る余裕も聞く瞬間もなかった

けれど絶望の中で救いを求めるあなたを覚えている
何もできない代わりにぼくはぼくを書き示そう
自らの悲しみを深めたその極地で矛盾するように
ぼくの悲しみがあなたの悲しみへと変わっていく

自分を掘り進めれば他人へと辿り着いた
自身を生き抜けば世界へと転轍された
ぼくとあなたの悲しみが繋がっているというその真理が
あなたを救いへと導けばそれでいい

 

 

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