詩人の少年

 

ぼくを否定するものを
ぼくから遠ざけなければならない
それだけが大切なぼくを護るための
たったひとつの方法だった

けれど世界はぼくを否定していた
それがぼくの生まれた時からの定めだった
この先を生き残るためにできるのは
ぼくが世界を旅立つことだけだった

ぼくが人を愛することで
世界はぼくを否定し続けた
ぼくが人を愛するほどに
ぼくはひとりぽっちになった

ぼくが愛した人はぼくを
決して愛することはないと知っていた
愛しても愛されないことを受け入れながら
それでも生き抜くことを誓った

誰の真似をすることもできない日々の中で
なぜ生きるのかを鏡に問い続けた
孤独でも生きるべきだろうか
愛されなくても生きられるだろうか

みんなと同じように生きているだけでは
ぼくは普通の人間になれなかった
悲しみに飲み込まれ苦しみに平伏し
ぼくはやっと普通の人間に見せかけた

ぼくの未来は決まっているように見えた
絶対に幸せにはなれないのだと悟った
ぼくの根源の少年は泣き続けた
それでも手を繋ぎ共に歩いてきた

幸せになりなさいと
ぼくは少年を何度も抱きしめた
疑うこと知らない瞳で
少年は幸せになれると信じた

世界がぼくを幸せにするまいと
嵐を呼び起こすというのなら
ぼくはあなたを死んでも護り抜こう
それこそがぼくの救いだった

何も返されなくていい
何も与えられなくてもいい
ただあなたを愛することだけで
ぼくは前を向けるような気がした

他人に投げ掛ければ賞賛される愛の言葉を
ぼくは根源の少年に注ぎ込む
ひとつひとつ残すことなく
あらゆる思いはあなたへと流れた

価値があるかなんてどうでもいい
ぼくの価値はぼくだけが決めてあげる
世界を旅立った魂の核には
他人の言葉なんて意味をなさない

生きていてもいいよと言われる日まで
おまえは天へと心を解き放て
既に言われていたと知るその日まで
おまえは天へと言葉を解き放て

 

 

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同性愛者として生まれた水色の少年は、この人生で幸せにはなれないのだと悲しい覚悟をした