あなたの人生にもありましたか
誰にも支配されないささやかな時代
ただ自分だけに支配される健やかな時代が
ぼくにもまた訪れる足音が聞こえる
誰にも支配されたくないと
がむしゃらに浮世を飛び出しても
支配されない人生なんてない
ぼくはぼくに 次第に支配されてゆく
いつの日か脳が錆び付いて
自分がいたことすら忘れてしまっても
あるいは大いなる神に支配されていると
大地に平伏す時が来るのだろう
おそれることはない
病むことも 痛むこともない
この生命を全体として生き抜いた証として
偉大に支配され抜いた自らを誇ろう
細胞の奥底から遺伝子は疼き出し
青い快楽と液体が肉体に注がれる
人間の群れが集団の幸福を見出し
ぼくらの生命を部品へと変えてゆく
ぼくたちの生命は連なり続け
もはや支配から抜け出す国はない
互いに共鳴し影響を及ぼしながら
高らかに正体を見破り突き進むだけだ