ぼくはあなたの悲しみを知らない
絶望に打ちひしがれるあなたを見て ぼくは何もできない ぼくができるただひとつのことは 自らの悲しみを書き綴ることだけ 助けを差し伸べる手を見せつけられても ぼくは救うことができない ぼくがすべきただひとつの…
絶望に打ちひしがれるあなたを見て ぼくは何もできない ぼくができるただひとつのことは 自らの悲しみを書き綴ることだけ 助けを差し伸べる手を見せつけられても ぼくは救うことができない ぼくがすべきただひとつの…
ぼくたちは記憶する 数字や 文字や 法則を学び取って 沢山覚えて多くを使いこなせば 優秀だと見なされ大いなる称賛は与えられた ぼくたちは学習する その先にはいい大学といい会社があった やがて安…
ぼくは自分をおかしいと思っていた だから誰にも果実の話をしなかった 恥ずかしくて おそろしくて ぼくの果実は他の少年のものとは異なることを知っていた あなたはいつも果実の話をしていた それは他…
あなたの肉体の熱さを覚えている あなたの果実の脈拍がこの肉体に刻み込まれ ぼくたちは魂を持つ者 それなのに ただ肉体だけに支配されながら青い春に苛まれた 男は肉体を見ることで果実を高ぶらせると…
どうせ確かめられないのなら 信じるより他はない 二度と巡り会えないのなら 疑うことに意味はない 証明できないからこそ 生きていける命がある 解き明かせないからこそ 心をなくさずに生きられる 人…
それは間違いだと他人が言っても ぼくは信じてあなたを待ち続けるだろう 迷うことを教えられなかった炎が 根源に宿ることを感じずにはいられない 根拠もなく理由もないぼくの確信を 理屈に合わないと誰…
ミコノスで巡り会った猫は ぼくが生まれる前の姿だった ぼくもあの猫のような曇りなき瞳で あの人を永遠に見つめ続けた 裏切られてしまうなんて 本当は露ほども考えていなかった あの人の愛が消え失せるはずはないと…
あなたに愛されていた時には あなたを失うことが怖かった あなたを疑うことしか知らなかった あなたを信じることができなかった あなたから遥か遠く離れて 異国を彷徨うことになって初めて ぼくは自分…
捨てられた犬のように あなたが戻るのをずっと待っている 魂は疑うことを知らない 魂は迷うことを知らない あらゆる異国を彷徨う時にも ひとつの祖国を深める時にも あなたを忘れたことがない あなた…