森の暗号
果てしなく流転するのに なにひとつ変わらないものを ぼくは知っている 生まれる前から祈っている 深山幽谷の中に流れる清流のように 常に形を変え続ける鏡面 誰からも忘れ去られたように光の中にたた…
果てしなく流転するのに なにひとつ変わらないものを ぼくは知っている 生まれる前から祈っている 深山幽谷の中に流れる清流のように 常に形を変え続ける鏡面 誰からも忘れ去られたように光の中にたた…
なにひとつ凍えず 生きることが定めなら わたしはこの命を 投げ捨ててしまっただろう なにひとつ燃え盛らず 揺れ動かぬ巌なら わたしは早々に 砕け散っただろう わたしたちは互いに 立ちすくむだろうが そこはか…
この世界に生まれついたとき ぼくたちは透明だったのだろうか 根源から誰かの声がする それはただ優しく歌いかける 支配されてなるものか 血の上流たちに逆らいもした 脅かされてなるものか 広がりゆ…
お父さまにはるか導かれて 幼い頃よく深い山を歩いた 途上で疲れ果てて妹とふたり どうしてそんなに山が好きなのと問い詰めた お父さまはひどく怒り それは尋ねてはいけない質問だと知った 自分の好き…
ぼくの根源には死がある 死が生という水の中に沈んでいる 生の水を費やすための遊びを あなたならどのように働かせる ぼくたちは根源へ帰ってゆく 誰も皆同じように帰ってゆく 例外はゆるされないこと…
燦々と青く輝くあの山々は 厳かな壁のようにぼくに立ちはだかるけれど 今ならわかるあの山脈は 新たなる旅への入り口だ ユーラシア大陸の東の端から西の端へ シベリヤの鉄道はぼくを運んだけれど 広い…
青色の衣をまとうのは ぼくがまだ生まれていない証 胎児のように時間を遡り ぼくはまだ何にでもなれる ぼくの正体を決め付けないで ぼくに名前をつけないで 「この世のものではありません」 ひとつの…
精霊たちの歌が聞こえる。 中島みゆきの樹木をテーマにした歌4「命の別名」 ・日本の宗教の源流 ・沖縄の何もない聖域は御嶽 ・奥深くに隠された本当に大切なもの ・中島みゆきの「命の別名」 ・御神体を守護する言…
のびゆく爪は ぼくがこの身に閉じ込めた樹木 意識とは別に伸び盛り ぼくに何も伝えない樹木 ぼくと樹木は絡みつく どこからどこまで絡みつく 自分の力で生きていると信じた 傲慢さが砕け落ちる 願わ…
ロシアの高尚な教え諭しが シベリア鉄道をゆくぼくの胸を貫いた 机の上にはトルストイの人生論 人々が幸福になるための道が記されている 立ちはだかる理性という人間性 白い人曰く動物と人間は大きく隔…