果てしなく流転するのに
なにひとつ変わらないものを
ぼくは知っている
生まれる前から祈っている
深山幽谷の中に流れる清流のように
常に形を変え続ける鏡面
誰からも忘れ去られたように光の中にたたずむ
たくさんの祈りを集めた岩石
なにもかも変わりゆく水と
永遠に固定する巖の間に揺れ動く
熊野の森の木漏れ日が
風とともに人々の心に降り注ぐ
どうか教えて 水よ石よ木よ
どうすれば惑わずに生きられるのか
答えてはくれない森の奥から
正しさを知らぬ風が吹き付けた
本当のことを教えてくれる人間は
この世にはるか少ないから
あなただけがぼくに真理を語って
不確かに揺らぐ暗号に乗せて