「あなたはぼくが絶対に護る」と言えば
正義の味方として賞賛されるのに
「ぼくをぼくは絶対に護る」と言えば
途端に見下されてしまうこの世の不可思議
ぼくを傷つける者をぼくは許さない
否定の雨の中で必死に生き抜いて
かろうじて息をしている小さな獣を
これ以上痛めつけるなんて絶対に許せない
ぼくもあなたも同じ人間
自分も他人も変わらぬ幻想
ぼくを傷つける者を許さないと叫ぶことは
あなたを傷つける者を許さないと叫ぶほどに清く尊い
ぼくを愛することもあなたを愛することも
何ひとつ異なることのない祖国
自分を慈しむことも他人を慈しむことも
何ひとつ違うことのない異郷
あなたを愛したようにぼくを愛すよ
あなたがぼくを去ってしまった後では
誰ひとりいない荒野に立ち尽くしているから
ぼくを護ってやれるのはぼくしかいない