ぼくは男なのにあなたに可愛いと言われて嬉しかった

 

 

ぼくは男なのに
あなたに可愛いと言われて嬉しかった
髪を撫でられると力が抜けて
生きていることをゆるされた気がした

あなたがいなくなると
誰がぼくをゆるしてくれるの
あなたがいなくなると
誰がぼくの髪を撫でてくれるの

あなたをなくすことばかりに怯えて
あなたを見失うことだけを恐れて
あなたの優しい腕にすがりついて
あなたを大切に思うことを忘れていた

ごめんなさいと謝りたくても
ぼくはもうあなたの腕の中にいない
ぼくが未熟であなたを愛せなかったから
あなたは遠くへと旅立ってしまった

ぼくを可愛いと言ってくれる人を見つけたの
生まれる前から髪を撫でてくれたの
ぼくがぼくを永遠に可愛いと愛でるから
あなたはもう他の人の髪を撫でてもいい

強がりで少年のようだったあなたは
ぼくにだけ抱きしめてと甘えてきた
そうだね誰だって赤ん坊のように
あらゆる大きな愛に包まれて眠りたい

すぐに甘えるあなたの本当の姿は
ぼくとあなただけの秘密になった
ぼくはぼくに永遠に可愛いと言うから
これからはあなたがあなたに可愛いと言いなさい

 

 

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