生まれた時からぼくたちは既に
引き継がれた思いを持っている
生まれたときには何ひとつ
持たないことをゆるされない
生まれる前から決められた定めが
ただ運命と呼ぶだけの遊びなら
占いながらささやきながら
とめどない虚構の歌を聞くだろう
生まれる前から引き継がれた願いが
それを本能だと呼ぶだけの科学なら
冷たい遺伝子の運び屋として
ぼくたちは生物の部品に成り果てるだろう
一生の前という天空の世界から
降り注がれてくる贈り物の名前を
教えてくれるものはない
それは人間の言葉にはならない
占い師も学者も退けて
たどり着く荒野では凍りつく海が見える
はるか彼方のロシヤから旅立った
孤独な氷たちの群れが見える
いつまでも待たせておくれ
命尽きても待たせておくれ
駆け抜ける炎のような生命たちに
真実の言葉はやがて降り注ぐ
いちばんに大切な炎の色を
根源の彼方に宿しながら
いつまでも待っているわ
宇宙の言葉をぼくは知っている