知床の森

 

 

何かを隠している森
何かを宿している森
何かを担っている森
わたしはただ おそれをなす

美しい光に迷い込みながら
森は気配を生み出し続け
やがてわたしの魂をさらうだろう
わたしはそれを恵みだと知る

奪い去られることを憎んでは
わたしは世界を威嚇していた
今こそ木漏れ日へと歩みを進めよう
本当は何もかもを奪われたかった

生と死の万華鏡を身にまとい
森は丸い宇宙を奏でる
注ぎ込まれた喪失の彼方に
永遠のよみがえりの誓いを聞く

何か約束でもあるかのように
あらゆる生命は先を急いだ
それぞれの生命を一瞬の炎に閉じ込めて
時を知らずに迷いを遥か退ける

 

 

 

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