シベリア鉄道の旅でぼくを寒さから守ってくれたのは、大好きなノンケの親友がくれた手袋だった
シベリア鉄道の旅でぼくを寒さから守ってくれたのは、大好きなノンケの親友がくれた手袋だった ・大学時代、ぼくは片思いしているノンケに膝枕されるのが好きだった 大学時代、同性愛者のぼくは同級生の異性愛者の男の子…
シベリア鉄道の旅でぼくを寒さから守ってくれたのは、大好きなノンケの親友がくれた手袋だった ・大学時代、ぼくは片思いしているノンケに膝枕されるのが好きだった 大学時代、同性愛者のぼくは同級生の異性愛者の男の子…
どこからが朝で どこからが夜か わからなくなります どこからが本当で どこからが嘘か わからなくなります ここは北の極み ムルマンスクの土地 冬の光も届かない異国 朝焼けがそのまま 夕焼けにな…
すべての心に冬が来る すべての心に雪が降る それを誰もが止められぬ 少しの祈りも消え果てて わずかの夢も散り果てて そして誰もが雪を見る まるで死へと向かうように 季節の終わる時を知る もう二度とは帰らない…
ウラジオストクの宿から持ってきた お茶の葉がついに途絶え あなたのくださった紅茶を淹れる日が とうとうやって来ました ここは北極圏・スオミの地 あなたの国とは異なります あなたはどうしているでしょうか 健や…
ぼくに幸福が訪れるのは 与えられたときではなかった ぼくが生まれた意味を知るのは 愛されたときではなかった それはまさに与えるとき 与えられたように幸福を呼び醒す 天へ向かって与えるときに 授けられたように…
与えられることだけが ぼくの生きてゆく習いだった 生かされたことだけが ぼくのたったひとつの償い どうかゆるしてください 与えうる何もないこと どうかわかってください 生かしうるすべもないこと 申し訳なさそ…
たくさんあるものの中から どうしてしてそれを選ぶのだろう 自分自身のことなのに なにひとつ説明できない たとえ巡り会っても交わし合う言葉もなく ただ通り過ぎるだけの人もいるね たとえ巡り合っても比べ合って …
何が濁っていて 何が澄んでいるのか わたしたちには 何も見えていない 何が毒をもたらし 何が愛を注ぐのか わたしたちは 間違えてばかり 果てしなく深いふるえ 果てしなく透明な瞳 シベリアの真ん中で その姿は…
シベリア鉄道は母胎への回帰道 どこまでも閉ざされた真空の中を 心地のよい暖かさにくるまれながら ゆらゆらと慣性力のままに傾く 時おり訪れる対向の車窓の光 時おり流れくる冷たい風と粉雪 時おり止まる駅における…
向こうに見えるのはロシヤだらうか どこからどこまでロシヤだらうか なにからなにまでロシヤだらうか 果てから果てまでロシヤだらうか 厚い外套を脱ぎ捨てたその先に わたしとロシヤの近隣があった 外套といふ一枚の…