ぼくには果実があってよかった
水色の美しい果実があってよかった
この世の全ての生命を生み出せる
神秘的な果実があってよかった
あなたに果実があってよかった
硬くて熱い果実があってよかった
滾る春の液体がいつもあなたを悩ませる
潤った常若の果実があってよかった
果実の甘さに身を任せた少年が
果実の熱を憂う少年を愛してはならないと
この世界ではまことしやかに
言い伝えられているけれど
果実のこと以外考えられないぼくたちは
互いの果実を愛おしく触った
ぼくたちは同じ果実を隠し持っているのだと
確かめ合った時に胸が震えた
あなたは果実のないことに夢中になって
彼方へ立ち去ってしまったけれど
こんなにも若くて美しい果実を持たない
人間に生まれなくてよかった









