ぼくのたったひとつの
果実を優しく撫でながら
おまえのここ以外ならば
すべて好きだとあなたは告げた
ぼくの尊い果実の熱を
確かにその手で感じながら
男がこれを好きなのは
おかしなことだろうとあなたは笑った
ぼくの果実だけをいつだって特別に
強く握りしめて愛しむくせに
ぼくのすべてを好きになってよと
ぼくはその夜甘えて見せた
ぼくの肉体や魂のほんの一部でさえ
愛されないなんて悲しいと祈ったのは
きっとあなたに対してではなく
あなたの上におはす神様に向けてだった
(ぼくがぼくのすべてを
余すことなく大切に思うように
まさにそのようにしてあなたも
ぼくを愛してくれることを願った
ぼくがあなたのすべてを
一部すら残さず好きであるように
まさにそのようにしてあなたも
ぼくの果実すら慈しむことを望んだ)
あなたはぼくを強く抱きしめながら
ぼくのすべてを好きになると誓った
そしてぼくのことを好きだからこうするんだと
ぼくの果実に優しくキスをした