夢の中でとても美しい島を訪れた
どこに何があるのかすべてを覚えていて
なぜ今まで忘れてしまっていたのか
驚くほどに長く暮らした島だった
碧い海に浮かぶ白い砂浜を端まで歩いた
医師の古い友人が痩せさらばえていた
回教のモザイクが弾けては煌びやかに巡って
泣きながら目醒めるとそれは見知らぬ島だった
ここはわたしが肉体を刻みつけた大地
たとえ異国でも言葉が通じなくても
巡礼を踏みつけたならば成り果てる魂の祖国
わたしを導くための澪標が立ち尽くす
どうして泣いていたのだろう
あの島はどこにあったのだろう
世界地図のどこにも載っていないあの島は
生まれる前に住んでいた故郷だろうか
夢の中でしか辿り着けない島がある
夢の中でしか巡り会えない人がいる
辿り着き得ぬ人の思いを遮って
アズレージョだけが夢にも現にも残った










